技術と誇りを体言する 宇田大工
江戸時代から続く大工。宇田大工。
脈々と続く「大工の血」というのは、
恐らくDNAレベルなのだ

と、彼と話していて感じた。

実に職人らしい。

「技術」「歴史」「誇り」

そのような言葉を感じさせるのが、この宇田大工。




彼に担当してもらっている新築での話。

子供部屋と書斎にロフトがあるのだが、

【そこに手すりを作りたい】

という話になった。

予算の事もあるので、どうするかを相談したのだが
はっきりといわれた言葉が



実に、彼らしい。

職人気質であり、自分の仕事に
自信と誇りが無いと言えない言葉である。

そして、彼の仕事はそれを「体言」している。




この手すりは結局どうなったかというと、
打ち合わせの結果


何の変哲の無い木材を数本用意しただけで、


彼は、半日でこれを作った。





驚くなかれ、これは一部。

もう一箇所、手すりを作っている。

正直、その美しさに驚いた。

「職人じゃきんな。大工って名乗るなら、これぐらいせんと」

有言実行。心の底から、凄いと思った。


棟上に挑む大工さんたち
うちの棟上は、他のハウスメーカーなどに比べると
人数が少ない事が多い。他の所よりも2、3人は少ない。

しかし、大体が予定通りに進む。
昼間には2階部分の柱が建って、
夕方には小屋束が立ち、棟が上がる。


私がもっと駆け出しの頃
一度、大工さん達に聞いた事がある。

『なぜ、人を増やさないのか?』

『人を増やしたら、もっと進むんじゃないのか』

しかし、大工さんたちは、笑ってこう応えた








棟上を正確にスムーズに進めるには、
大工同士の連携は非常に重要になる。

そもそも、大工という職人は、いつもは一人で作業をする。
しかし、棟上で重要なのは、それとは違う「連携」である。

それぞれの役割分担をしっかり把握し、
独立した仕事を十分こなした上での、連携。

決して、馴れ合いでない。

それはお互いが個々の腕を認めて、信頼しないと成し得ない。
その信頼の上で、更に長年の経験がある。


だから、棟上の一人ひとりの行動に戸惑いが無い。

自分がやるべき事が
誰にもいわれずに「分かっている」のだ。

彼らは、それが分かっているから

「人が多けりゃええってもんじゃない」

そう言えるのだ。




何も無かった所に
1日で大きな形ができあがるダイナミクス。

一切の無駄がない、洗練された作業の美しさ。

棟上は決してショーではない。
人に見せる為にやるものではない。

しかし、彼らがする棟上はそういう所に
「魅入ってしまう」「見とれる」のであろう。

私も棟上はいつも見てるが
洗練されたプロの仕事はやっぱりいつも厭きない。

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和は力。「石井大工」兄の一言
現場には、職人たちの世界がある。
職人たちのルールがある。

昔から現場では、「大工の棟梁が一番偉い」

そういう風習もその一つ。

先代からそういう世界を見てきた石井大工。
しかし、彼がつくる現場の雰囲気は、違う。





「現場では大工が一番偉い」

というのに、鼻をかける大工がいる。

そんな大工は2流・3流、というのは
石井大工を見て感じる。



例えば、大工が自分のペースだけで仕事をすると

他の電気工事や水道工事などの、
壁の中の作業を考えずに

工事ができてようができてまいが壁をふさぐ。


大工の言い分は
「それまでに工事できてなかった方が悪い。
 その場にいなかった方が悪い。」
という理論だ。
無茶苦茶なようだが、これが昔ながらの現場のルール。

その現場に間に合わなかった電気・水道の職人は
その壁をはがして、無理に工事をするらしい。
だから、そのような大工が仕切る工事現場の
目に見えない所は、無茶苦茶になっている事があるらしい。




しかし、石井大工は違う。

「○○日ぐらいに、壁を作るんじゃけど
 配管しに来てくれんの?」

「天井の下地を○○日に作るから、それから配線しに来なよ」

「ついでじゃきん。そこのコンセントの穴、あけとくわ」

などと、他の職人たちと非常に仲が良い。連携が取れている。

何より、決して威張らない。
同じ職人としての目線で
同じ家を作る仲間の目線で話し合う。

お互いに協力しあって作っていく。



石井大工、曰く
「家っていうのは、工場で作るようなもんじゃない。

職人の手で作る所が大半じゃろ?

大工や電気屋やクロス屋や言うても
所詮は人間じゃきんな。
そんな、偉そうにしても、ええ仕事はできんし
ええ家なんてできんよ。

みんなで助け合って、協力し合って
家っていうのはできるんじゃきん。

みんな気持ちよく、良い仕事をして、
住む人に『良かった』と思って欲しいだけよ。」



だから、他の職人たちも100%以上の力が出せる。

職人たちの和が、力となり、技となる。

そして、良い家ができる。



大工の棟梁は決して、腕だけが技術でない。

人徳も技術の一つだと、この人から学んだ。

コンマmm以下を操る「石井大工」の一言
腕の良い職人がモノを作ると
「美しく」モノが出来上がる。

その仕上がりの美しい事で評判の石井大工だが

その人がふとこういう事を言っていた。






石井大工とは出会ってから間もない頃、この言葉を聞いた。

目に見える所が綺麗な職人だから
まぁそんな事はないだろうと思っていたが

実際はそうでなかった。



目に見えない所…

階段下、床下、壁の内側…

こういう所の方が
目に見える所よりも数倍時間を掛ける。

石井大工曰く

「目に見えないこういう所が、しっかりしてないと
家が丈夫で長持ちせん。
後から修理もできやせん。

一度作ったものを、また手を入れるという事もしたくないし。

せっかく、住む人に迷惑もかかろう?

まぁ。これが大工っていうか、プロのこだわりだわな。」

と、はにかみながら言っていた。



その時、この人の仕事の美しさの理由が少し分かった気がした。


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